『田園の詩』NO.62 「県南落語組合」(1997.2.4)


 山寺の新春の行事として≪落語会≫を開くようになって、もう5年目になります。
今年も、お決まりの第三日曜日の午後に、地区の人々や友人達が大勢集まって
落語を存分に楽しみました。

 落語会といっても、私が説教の代わりに落語をするのではありません。また、遠く
からプロの噺家を呼んでするのではありません。なんと、この大分県には、電話一本
の依頼で落語をしに来てくれる会があるのです。

 その会の名前を『県南落語組合』(略して『県落』)といいます。県の南部地域に
住む落語好きの若者3名によって結成されたこの組合は、活動を始めてすでに
12年目になり、会員も17名に増えました。

 会員の職業は、公務員・学校の先生・会社員・自営業者など様々で、年齢も、
20代から60代と幅があります。

 組合の活動の根幹になっているのが≪出張寄席≫です。「お声が掛かれば、
ギャラなしで何処へでも伺います」をモットーに、県内五十六市町村はもとより、
最近は宮崎や熊本までも足を運んでいるようです。


    
     現在は、雪による交通事情などを考慮して4月の第3土曜日に
    開催しています。写真は『第16回 落語会』の様子です。平成21年は、
    4月18日に『第17回』を開催予定です。       (08.4.199写)



 益々人気の≪出張寄席≫は、今では年間百回を超え、通算で七百回を突破した
と聞き、ただもう驚嘆するばかりです。

 ところで、『県落』はアマチュアの会ですが、「三度のメシより落語が好き」と
いうだけあって、レベルの高い人が沢山います。それで、よくプロと比較して論じ
られます。曰く「アマだがプロ並みに上手だ、だから面白い」と。

 確かにそれも一面ですが、彼らの落語が面白いのは、それがナマ(生)(最近の
言い方ではライブ)だからだと私は思います。

 情報や文化には、田舎にいても、テレビやラジオなどで(現在ではパソコンで)
接することができます。しかし、それは画面や電波を媒介としてです。こんな時代
だからこそ、ナマの新鮮さ大切さを痛感するのです。

 ≪出張寄席≫で日本の伝統文化をナマに伝えてくれる『県落』は、大分県が全国
に誇ってもいい宝物だと思います。        (住職・筆工)

                【田園の詩NO.】 【トップページ】